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横浜市大医学部附属病院での患者取り違え事故

私がレポートで書いたのがこの医療事故だ。
発生日は1999年1月1日午前。
次々と明らかになる医療事故の発端になった事故として記憶にある方も多いと思う。
~概要~
 それぞれ心臓と肺を手術する予定であった患者A氏(74歳)と患者B氏(84歳)を
 取り違えて手術。手術終了後、集中治療室で二人の取り違えに気づく。
 その後、マスコミによる報道。市大側は記者会見を行い、事故を公に認めた。
~原因~
 当初の報道は「患者を搬送した看護婦に単純ミス」ということに終始していた。
 しかし、これだけではないことは明らかで、病院全体の管理体制、システムに大きな
 原因があると考えられる。まず、看護婦一人で複数の患者の搬送を行ったこと。
 そして、手術前に患者の確認を行う機会があったのにも関わらず見過ごし、手術を
 行ったことは手術に関わった全体の管理体制に落ち度があったといえる。
~背景~
 事故発生時は午前8時20分。深夜勤務と日勤の看護婦の交替時刻に多数の手術
 の同時スタートという状況だった。極めて時間が切迫した中で複数の行為を同時に
 行うことを求められる体制であった。
 外科病棟の看護体制はベッド数45、当日の患者が35名で深夜勤務の看護婦は
 3人のみ。そのうち2人が手術患者を搬送した場合、一人だけが残る形になり、
 患者の起床に伴うケアの増加、日勤の看護婦への引継ぎ、ナースコールの対応等
 が大変になるため、一人で複数の患者を搬送するという事態になったと考えられる。
 看護婦の業務密度は高く、エラーが生じやすい状況だったことは明らかである。
 患者の受け渡しと確認については、病棟から手術室への受け渡しは通常は患者の
 カルテと一緒ににするが、ここでは別々に行われていた(当時)。そのため、
 取り違えが起きやすい環境であったと思われる。また、麻酔前や執刀前に、主治医
 麻酔科医、担当看護婦などで複数に渡って行われるべき患者確認の役割と、
 責任体制が明確でなかったことも背景にあげられる。
~事故後対策~
 IDリストバンドの導入。これは色やバーコード等でデータ管理を行い、医療行為時に
 認証を行うものである。

ここに書いた原因、背景等は調査報告、資料とほぼ同じだと思う。
これから得た教訓は生かされているのだろうか。
・タイムプレッシャーによるエラー確率の上昇
・責任、役割の明確化による事故防止
・医局等の閉鎖空間でのコミュニケーションの悪化は重大な事故原因になりうる。
・形式的な確認によって安心してしまうこと。
教訓と、改善点は多々ある。

一番重要なのは「人間はミスをする」ということだと思う。
それを前提にシステムを作らなければならない。
航空機事故の7割はこういったヒューマンエラーであると言われている。
そういったことからも医療現場にも「フェールセーフ」の概念を取り入れるべきである。
「フェールセーフ」とは、何らかのトラブルが事故に繋がらないようにシステム全体に
安全装置を設けておくことだ。
例えば、ブレーカー、ストーブに付いている転倒時に電源を切る装置などだ。
こういったシステムがもっと浸透すればいいのだが・・・

資料
横浜市立大学医学部附属病院の医療事故に関する事故調査委員会報告書
http://www.cute.to/~dent_rie/yokohama.htm

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